
今回はデザイナーを目指す学生に向けて、デザイン科の高校はデザイナーになるために本当に役に立つのかどうかを語っていきたいと思います。
私自身、デザイン科の高校を卒業しているので参考にはなるかと思います。
デザイナーになるには高校はどこが最適か【本当にデザイン科でいい?】
この記事でわかること
- デザイン科の高校は勉強嫌いがデザイナーになる道
- 高校ではデザイナーになれるかどうかは決まらない
- デザイン科の高校はデザイナーになるための役に立つのか
- デザイン科高校のカリキュラム
- デザインの才能の話
- 進路選択に失敗したくない
- デザイナーを目指すのであれば最終的には独立を考えなければならないこと
- 高学歴デザイナーと低学歴デザイナーの違い
- デザイン科の高校を卒業後デザイナーになった人の割合

この辺りを深堀りします。
【断言】デザイン科の高校は勉強嫌いがデザイナーになる道です
断言しますが、デザイン科の高校は勉強嫌いがデザイナーになる道です。
勉強が嫌いでもデザイナーになりたいと思っているなら迷うことは無いかと思います。
デザイン科高校は偏差値が低いことが多く、実際私の行っていた高校も低かったです。

ちなみに私の学校では有名美大に進学していったのは30数名中1人でした。
なので、偏差値の高い普通科に行ける学力があるのであれば通る道ではないです。
偏差値以上に、有名芸美大の試験科目に対応できないことがあるので
有名美芸大に行って有名企業のデザイナーを目指すのであれば、偏差値の高い普通科に進みましょう。
デザイン科の高校で学ぶことはデザイナーの役に立つのか
前提としてデザイナーの種類にもよります。ファッション系に進みたいのであれば通常のデザイン科とは方向性が違いますし、
グラフィックデザイナー、WEBデザイナーなんかを目指す人が通うのがデザイン科の高校です。
話を戻して、結論から言うと高校で学んだ技術の99%は実際のデザインの役には立ちません。
私の感覚ですが、高校3年間で学んだ内容は、デザイナーの実務であれば2週間から1か月もあれば網羅してしまう程度のものです。
それほど高校3年間と実戦では学習内容に差はあるものの完全に無駄とは言い切れないです。
私の実際の高校のデザイン科の授業内容は↓こちらです。
現在のカリキュラムも確認しましたが、良くも悪くもあまり変化はありませんでした。

この辺は日本の教育制度がよくないです。
- デッサン
- デザイン史
- デザイン技術
- 製図
- デザイン実習(実際の作品をアナログで作成する授業)
- 普通教科(国語、数学、現代文、生物基礎、世界史、地理、家庭科、芸術、体育など)

実務には使わないデザインの知識だったりも勉強しますし、必要なことに触れなかったりも多々あります。

例えば、デザインの実務において“デザイン史”の勉強はほぼ不要です。ものすごくアート思考のコンセプチャルなデザインでは少し活きるかもですが分量としてはほんの少しと考えておいた方が良いでしょう。
これはあくまで予備知識くらいの役目です。
絵具やアナログでの作業も意味が無いとまでは言いませんが、現在ではPC上での作業がマストなのでそちらに力を入れるべきだと個人的には思います。
私の経験上ですが、デザイン実務で一番重要なのが、レイアウトとバランスです。
しかしデザイン科の高校の授業ではグラフィックデザインのレイアウトやバランスのことについては、深く触れません。
なぜかというと、ここを言語化できる先生も少ないでしょうし、
良いレイアウトやバランスの証明することはかなり難しく、「好み」で片づけられてしまうことが多いのです。
例えばこんな感じ

ここ、レイアウトのバランス悪いよ
なんて言ったとして、たとえそれが当たっていたとしても

そう?俺はこっちの方が良いとおもうけどな

伝わらないな。残念
となり良くならない訳です。
しかしながら、美しいレイアウトバランスはデザインの歴史の中で研究されつくしていて確実にバランスの良い悪いの正解があります。
それを身に付けるには、基礎的な知識を学びひたすら実践するしかありません。
少なくともデザイナーとして3年は修業しないと解らない領域といえます。

実務に必要なことを教えられるのは、
当然実務をこなした経験のある人だけです。
たとえデザイン科の学校の先生であっても、デザイナーの実務を知らない人がほとんどです。
その上、ほぼほぼアートとしてデザインを教える先生も少なくないので、生徒としてもデザインは感覚で作ればいいのかと誤解を招きかねません。

私もここは誤解した状態で卒業しました。
すべてのデザイン科の高校がそうではないかと思いますが、私の場合、実際に
デザイナーを経て教員になった先生がいてその人の言っていることや授業はとても
面白かったように覚えています。
自分にデザイナーの才能があるか不安問題
デザインが好きならなんの問題もないです。
- 普段からイラストやデザイン系の雑誌を見ている
- 普段からイラストを描いている
- 美術館やデザイン展に行くのが好き
- デザイナーの人の話を聞いて「カッコいい」と憧れを感じる
- 誰かのデザインを見て「自分ならこうする」と妄想する


こんな感じで普段意識しなくても、デザインに関することを継続しているような人であれば挫折する可能性は低いですね。
よく、才能が無いからデザイナーを諦めた方が良いのかという考え方があったりしますが、これは半分正解、半分間違いだと思っています。
デザインはフィーリングや感覚、勘で行うものではなく
デザイナーの才能は継続量と改善量、デザインを見る量に比例します。
高校のデザイン科のデザインの授業は誰でもついていけるレベルです。それこそ職業訓練などで学ぶ方が100倍才能が必要かもしれません。
進路選択が無駄になってしまうか不安
デザイン科の高校の卒業後の進路は、
- 美術系の大学へ進学
- 美術系専門学校へ進学
- 一般職へ就職
くらいになってきます。普通科の高校よりかなり限定的になってくるので、
入学したものの途中でデザインを諦めると決断することになった場合、残された道は結構狭いものになるでしょう。


とはいえまだ高校生。やり直しなんていくらでも効くはずです。絶望するには早すぎです。


中学卒業時に選択肢がたくさん選べる人は、デザインを選んで後悔しないのかメリットデメリットを知った上で天秤に掛けましょう。
私の場合は、それ以外に考えられなかったので何の後悔もしていません。
デザイン科の高校で学ぶメリット
デザイン科の高校に通うメリットは大きくはありません。
ただ、16歳から18歳という感受性の高い時期にデザインを学ぶのは、
数値化できないメリットがあるように感じます。


世の有名デザイナーは、やはり早い段階でデザインを勉強している人が多いです。
学ぶのが早いのに越したことはないです。
何より、デザインを考える上でのマインドの定着と、3年間の経験値は大きいです。
デザイナーとしては役に立たないが美術系の学校の進学後には活きる
デザイン科での高校3年間は、美術系の大学や専門学校の進学先で、いきなり周りよりも数歩前でのスタートを切れます。
余裕をぶっこかなければ、高校3年分のデザインのアドバンテージは大きいです。
私は進学後に、デザインに対してのマインドが違い過ぎて周りが子供に見える感じさえありました。
高校三年間のデザイン教育は、デザインの実務では役には立ちませんが、デザイン系美術系の学校の進学先では有利に働きます。


ただし、油断してると優秀な人にはあっという間に抜かれますので安心してはいけませんよ(経験済)
ただ、受験対策においてはかなり厳しい面もあります。
単純にデザイン科の高校は偏差値が低い場合が多いので、受験に対しては厳しめです。
予備校など外部で対策をしないとなかなか厳しいです。
デザイン科の高校で学ぶデメリット
方向転換が難しくなる
デザイン科のような美術系の高校は、専門的なことに注力するので、学力が犠牲になってしまうことが多く途中で軌道修正が難しくなりやすいです。
偏差値の高い普通科高校に入れるのであれば、そちらに入学し+予備校で美芸大の専門知識を学ぶ方が無難ではあります。


勉強が好きじゃない人がデザイナーになる道だと割り切った方が良いかもですね。エリートデザイナーではなく、たたき上げの雑草デザイナーの道です。
デザイナー以外でデザイン科に行った方が良い職業
私が思うにこんな感じです。
- イラストレーター
- 漫画家
- ゲームクリエイター
- 芸術家


やはり勉強嫌いな職業が多いですね。
先生もモノづくりが好きな人の集まりなわけなので話も合うはずです。


高学歴デザイナーと低学歴デザイナーの違い
デザイナーは誰でもなれる職業で、実力が全ての世界と思いそうですが、少し違います。
高学歴デザイナーと低学歴デザイナーにはそれほど差はありませんが、
超高学歴デザイナー(トップ層)と、それ以外のデザイナーとでは目には見えない確実に差があります。


同じ業界なんだけど、クローズドの別世界がそこにあるようなイメージです。トップ層しかそこへアクセスできない感じです。
長年業界にいて思うのは、デザイン業界を仕切っているのは、
高学歴のエリートデザイナーで、その人たちが仲間に選ぶのもやはり超エリートデザイナーだったりするので、低学歴デザイナーがいくら実績を積んだとしても
届きにくいのは仕方のないことかもしれません。
デザイン科の高校を卒業後デザイナーになった人の割合
私の同級生だと、私を含め現在も3~4名がデザイン関係の仕事をしています。
クラスの人数が30数名だったので約10%ってとこでしょうか。


スパっと全く違う方向に進む人も多いです。
どこの学校に行ってもおおよそこの確率は外れません。
デザイナーはなるのが難しいから10%の人間しかなれないというわけではなく
大抵の人は、勉強している最中で「思っていたのと違う」とか「これは向いてないな」
とか「これを仕事にするのはしんどい」とか思って方向転換するのが
ほとんどです。


デザインに全振りできる人は少ないです。
安定性とか実力に左右されやすいからでしょうね。
デザイナーを目指すのであれば最終的には独立を考えなければならないこと
デザイナーは独立ありきで目指した方が良いです。就職することは修行と同意です。
- 拘束時間長い
- 無理できるのは若いうちだけ
- 自分が作業をしていては一生楽にならない
時間が経てば経つほど、「楽にならない」のが一番の悩みになってきます。
【まとめ】デザイナーになるには高校はデザイン科が最適?【才能は必要なのか】
まとめです。
高校のデザイン科は、通常の勉強をしたくない人や出来ない人がデザイナーを目指すのであれば最適解と言えます。
勿論、人によりますが高学歴のエリートデザイナーを目指すのであれば、通る道ではないかもです。


そこで学べる知識や技術は、ほぼほぼプロのデザイナーの世界では役に立ちませんが、マインド定着はそこそこ有益です。
才能は考えないでOK。真面目にやってれば力は確実につきます。
前提として高卒ではデザイナー求人に受からないので、あくまで美術系の学校の進学に焦点を当てて、大学や専門学校で引き続きデザインが学べるような進路を考えて行動しましょう。
マインドを身に付けることが出来れば、その後の勉強やデザインに対する考え方もどんどん吸収していける筈です。
デザイナーとして成長するにはデザインだけやっていても厳しく、自分の知らない世界のことやあやゆる知識や技術をどん欲に吸収して向上させていくような気持ちが必須です。
私も今では30代後半ですが、時代と共に流されていく、新しく勉強しないデザイナーを割と見てきました。
そうならないよう常に社会人になっても、自発的に知らないことを調べたり勉強が自然にできる人になっていってもらいたいし、そうなるべきです。
今回はこの辺りで〆たいと思います。
参考になりましたら幸いです。ありがとうございました。
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